秋の京都を代表する行事「時代祭」へ行ってみよう!

秋の京都を代表する行事「時代祭」へ行ってみよう!

毎年10月に開催される「時代祭」は京都三大祭にも数えられる伝統の行事です。京都の歴史絵巻を見ているような雅やかなお祭りは、着物好きの方なら楽しめること間違いなし!
時代祭についての簡単な解説や見所をご紹介していきます。

今年は例外! 2019年の開催日は「10月26日」

時代祭の開催日は例年同じ10月22日ですが、2019年は例外で10月26日土曜日に開催されます。これは、天皇陛下の「即位の礼」の儀式が10月22日に行われるために、今年は特別に時代祭が日程変更となるのです。

大きなお祭りだけあって、毎年出発地点の京都御所には国内外の観光客が大勢見物に訪れます。土曜日でお休みの方も多いので、いつも以上に賑わうことが予想されます。

京都御苑から平安神宮までを2,000人が練り歩きます

時代祭は明治時代、平安神宮が創建されたのを祝って始まったお祭り。明治維新で天皇が江戸に住まいを移され、衰退しつつあった京都に再び活気を取り戻そうという意図もありました。京都の民衆が一つになって作り上げることで、都としての誇りを強く認識することにもなるからです。

祭りでは平安京遷都から明治維新まで、それぞれの時代を象徴する衣装を身にまとった人々が列をなし、長く続く京都の歴史を現し讃えています。京都御所を出発して、御池通、三条通を通り、京都の中心部をぐるっと巡って平安神宮までゆっくりと歩いていきます。その列に参加するのは京都市民2,000人、距離にして2キロに及びます。太鼓や踊りなどの鳴り物は少なく、粛々と続く様子は、雅びやかで京都らしいと言えます。

とことん正確に。忠実に再現された衣装に注目

時代祭は歴史を”ビジュアル”で再現しているだけに、歴史に忠実に衣装が作られています。

例えば、同じ平安時代の女流歌人、紫式部と小野小町は一見よく似た装束ですが、紫式部が準正装「小袿(こうちぎ)」を着ているのに対し、清少納言は正装の十二単を着ています。

また、着こなしはもちろん、着物の素材や技術、化粧、髪型にいたるまで有識者のアドバイスのもと、できる限り正確に再現しています。

このようなことができるのは、さまざまな伝統技法を今まで守り抜いてきた京都だからこそ成せる技です。

さらに、登場するのは貴族や武士に限りません。花かごを頭に乗せて売り歩く「白川女(しらかわめ)」や薪を売り歩いていた「大原女(おはらめ)」など、仕事着を着た庶民が登場するのも興味深いです。

現役の芸舞妓さんも参加して花を添える

お祭りに参加しているのは京都市民の有志ですが、その中には芸妓さんや舞妓さんもいます。

京都には祇園甲部、祇園東部、先斗町、上七軒、宮川町の5つの花街があり、そのうち2つの花街が毎年交代で参加することとなっています。

芸舞妓さんが扮するのは平安時代の婦人列。清少納言、紫式部、小野小町といった誰もが知る女性たちで十二単など艶やかな姿に、観客からは歓声が上がることも。

中でも一際目を惹くのは、巴御前。神輿に担がれる他の女性たちに対し、鎧を着て馬にまたがる姿は凛としていて見惚れてしまいますよ。

100%楽しみたいなら、有料観覧席の確保がおすすめ

職業や位のわかる時代装束ですが、事前の知識がなければ違いに気づくのは難しいかもしれません。細かい部分まで楽しみたいなら、有料席で観覧するのがおすすめです。パンフレット付きの席や無線でのイヤホンガイドで実況してもらえる席もあるので、自分では知りえなかった衣装の秘密を知ることができますよ!

時代祭は動く博物館のようなリアルで豪華なお祭り

毎年夏に行われる祇園祭は、鉾や山の美しさから「動く美術館」と称されますが、時代祭はこれまでの京都の歴史が一目でわかる「動く博物館」のよう。着物に興味を持ち始めた方なら、各時代の衣装がどのようなものか、一層見るのが楽しくなりますよ。

年に一度のお祭りへ、ぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。

おくむらかなこ

関西在住のライター。ビンテージファッションが好きで、その延長として着物も普段着として楽しむように。大胆な色柄が多い昭和初期のアンティーク着物が特に好み。京都のガイドブックや情報誌の編集・ライターをしていたことから、京都の文化やグルメにも詳しい。

着物ライター おくむらかなこ
関連記事&スポンサーリンク