浴衣で浅草散歩(1)~伝法院通り編~

浴衣で浅草散歩(1)~伝法院通り編~

浴衣やきもので歩いてみたい東京の街といえば、やはり浅草!
浅草というと雷門から仲見世を通り、浅草寺にお詣りをするルートを思い浮かべる方が多いと思います。ですが、浅草はそれだけではなく、いろいろな通り・商店街があり、ユニークな場所がたくさんあります。
今日はそんな浅草の中から、浴衣で散策するのにぴったりな場所として伝法院通りをご紹介します。

伝法院通りとは

伝法院通りは、浅草寺と新仲見世通りの間にあり、仲見世通りと交差する通り。伝法院は浅草寺の本坊で、江戸時代初期の庭園が残っており、不定期で一般公開されます。その伝法院に隣接した通りであることから、この通りは伝法院通りという名前がつきました。200mほどの伝法院通りには、浅草ならではの「和」の専門店が並んでいて、浴衣で散策するのにぴったり!
人力車や自転車は通れますが車は入れず、道幅も広くて歩きやすい通りです。

個性的なお店が並ぶ伝法院通り

「和」の専門店が多数並ぶ伝法院通りは、浴衣を着て一つ一つのお店をのぞいて歩くだけでも、なんだか江戸時代にタイムスリップしたような気持ちになります。
江戸切子のお店、つげ櫛の専門店など「突然入っても大丈夫かなぁ・・・」とちょっとドキドキするような専門店があるのも伝法院通りのおもしろさ。ぜひ思い切ってのぞいてみましょう。

のれん べんがら

のれんの専門店 べんがらは、一点からオリジナルののれんを染めてくださるお店。入り口にかかる判じ絵ののれんは、日本橋や駒形など東京の地名を描いているのですが…
全部分かりますか?^^

のれん専門店 べんがら

和装履物 辻屋本店

創業100年を超える老舗和装履物店 辻屋本店は、浴衣を快適に着こなすために必須の下駄をあつらえてくれてます。いつも職人さんがいてくださるので、草履や下駄のことで困ったらいつでも相談ができる心強いお店。ぜひチェックしてお
きましょう♪

老舗和装履物店 辻屋本店

かなや刷子

かなや刷子(ぶらし)は、ほうきやたわし、書道の筆に化粧筆まで、「刷子」なら何でも揃う専門店。店頭ではまさに亀の子たわしが迎えてくれます。
一番人気アイテムは、私も日々愛用している馬毛と豚毛の歯ブラシ。通常のナイロンの歯ブラシとは違って、使い続けても開かない便利グッズです。

かなや刷子

たくさん歩いて話してお腹が空いたら、伝法院通りには飲食店も揃っています。
天丼の老舗 大黒家さんは一度は食べてみてほしい江戸っ子の味。色の濃い天つゆをくぐらせた、ご飯が見えないほど大きなエビの天ぷらが乗っています。
パッと食べるなら、ら麺亭の醤油ラーメンもオススメ。今のご時世ワンコインでお釣りがくるなんて、庶民に優しい貴重なお店です。シンプルな醤油ラーメンは飽きない美味しさです。

浴衣レンタルも併設するLa VASARA CAFE AND GRILLは、通り沿いからちょっと奥まったところにあり、静かにゆっくり過ごせるお店。お茶をしながら休憩したいなというときにもオススメです。他にも小腹が空いたときの浅草メンチやソフトクリームのお店もあります。
何を食べようかな~と迷ってしまうのも浅草だからこそですね。

伝法院通りで会いたい人といえば

そして伝法院通りでぜひ会って欲しいのがこちらのお方。

歌舞伎で有名な作品の一つ『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』に登場する白浪五人男という盗賊集団の首領 日本駄右衛門です。それぞれ個性豊かな五人男は、現代の戦隊ヒーローの元になっていると言われ、江戸時代から今に至るまで歌舞伎の人気者です。
伝法院通りには、日本駄右衛門を含め、白浪五人男たちがお店の屋根の上などあちこちに隠れています。白浪五人男の産みの親である歌舞伎狂言作者の河北 黙阿弥が、このエリアに住んでいたことから白浪五人男たちが伝法院通りにいる、というわけなのです。
歩きながらぜひ探してみてくださいね!

夜の顔もチェック

浅草の夜は早く、19時を過ぎると多くのお店がシャッターを閉め、人通りもぐっと少なくなります。
浅草寺はライトアップされ、闇夜に浅草寺や五重の塔がくっきりと浮かび上がります。涼しくて歩き易い夜の浅草は、昼間の賑わいからガラリと雰囲気を変え、とてもオススメなのです。

伝法院通りのお店は夜はほとんどがシャッターを閉めてしまうのですが、シャッターにはその店ゆかりの絵が描かれています。このシャッター絵を見ているだけでも楽しいもの。しかもこのシャッターには「夜の江戸八人衆」と言われる江戸時代の有名人が描かれているとのこと!
幡随院長兵衛、大久保彦左衛門、土方歳三、新門辰五郎、水戸光圀公、弁天小僧、出雲の阿国、坂本龍馬…
私もまだ全員見つけられていません…!

そして、夜の浅草を歩く際にぜひ見て欲しいのが、地口行灯(じぐちあんどん)という街路灯です。地口とは江戸時代に流行したダジャレのこと。ことわざやお芝居の有名なセリフなどをもじって洒落を作り、イラストとともに行灯に描きます。
江戸時代にはお祭りのときなどに地口行灯を飾ったたそうです。伝法院通りにはこの地口行灯が通りの両側に12本置かれているのですが…
これがついつい笑ってしまうものばかり。
日中でも地口を読んで楽しめますが、薄暗くなって明かりがついた地口行灯もぜひ見ていただきたいポイントです。

7月の行事にも足を運んでみましょう

浅草は一年中、お祭りをしているかお祭りの準備をしているかという、行事がいっぱいある街。
7月前半の9日、10日の二日間は、浅草寺境内にほうずき市が出ます。この日は「四万六千日」といって、この日に浅草寺の観音様をお参りすれば、「四万六千日」分お参りしたことになるというなんともお得な日なのです。
また、7月最後の土曜日は隅田川花火大会。言わずと知れた人気の花火大会ですので、本当に多くの人出で賑わいます。

浴衣で散策するときの心強い味方

ここまで浴衣で歩いて浅草を満喫するスポットをご紹介してきました。いかがでしたか?

あまり浴衣や下駄に慣れていなくて、たくさん下駄で歩いたら足が痛くならないか心配…と思った方もいると思います。
そんな方には、レース足袋を準備しておくのがオススメ。きもので履く木綿の真っ白な足袋だと、浴衣のカジュアルで涼しい雰囲気にアンバランスなので、レース足袋は重宝します。
ネットショップで「レース 足袋」と検索すれば、色も白だけでなく、黄色、ピンク、水色、黒…と選べるので用意しておくと安心です。

気軽に和装を楽しめる夏の浴衣。
浴衣を着るだけで、なんでもない一日が特別になります。
ぜひ浴衣と浅草の特別感を楽しんでくださいね!

上杉 惠理子

『和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜』主宰。 ぽっちゃり体型と黒い服ばかり着るファッションセンスの無さという外見コンプレックスを、きもので解消し、きものの魅力にのめり込む。ひとりひとりの魅力を引き出す最強の自己表現ツールとして、きものの選び方やコーティネート、着方などを提案している。

上杉 惠理子
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