浴衣で浅草散歩(2)~浅草で古典芸能 落語デビュー!
浅草といえば浅草寺。お隣に浅草神社があり、浅草七福神もありますので、寺社仏閣をおまいりする街、というイメージが強いかもしれません。
それだけでなく浅草は、芸ごとの街でもあります。
日本で初めて映画館ができたのも浅草。戦後の最盛期には30館もの映画館や劇場があったそうです。渥美清さんやビートたけしさんなど、多くの俳優さんや芸人さんが浅草からキャリアをスタートさせました。
そんな芸ごとの街 浅草を楽しむ一つとして、落語の寄席をご紹介します。
落語は気軽に楽しめる伝統芸能
早速ですが、落語を聴いたことがありますか?
落語は落語家(噺家、とも言います)が一人で高座の座布団に座り、手ぬぐいと扇子だけを持って身振り手振りだけで語る、とてもシンプルな古典芸能です。戦国大名のそばに仕えて話し相手になった「御伽衆(おとぎしゅう)」が落語の始まりと言われ、江戸時代には有料で人々に噺を聞かせる落語家さんが登場しました。
落語のお話には必ず、最後に「オチ」があります。「オチ」以外にも話の途中でたくさん笑えるポイントが散りばめられています。おもしろいと思ったら恥ずかしがらず、「あははー!」と声に出して笑うのが落語の楽しみ方。声を出して笑うと、ストレス発散、気持ちもスッキリします。この飾らない落語の雰囲気が私は大好きです^^
また、完璧にかっこいいヒーローが出てこないのも落語のおもしろさ。主人公もみんなちょっとダメなところを持っていますし、悪人かなと思っても実は良いヤツだったり、男を騙そうとする遊女が実は彼女も騙されていたり…。そんな人間味のあるキャラクターが登場する落語は、話によっては大笑いし、別の話ではほろりと涙ぐんでしまうこともあります。
しかも、落語は特別な衣装も小道具もありません。小道具は手ぬぐいと扇子だけ。噺家さんはずっと座ったまま身体の向きや仕草、声の調子だけで何役も演じ分けていきます。なのに、聴いているうちに江戸の街の風景や登場人物の顔が頭に浮かんでくるから不思議。ある噺家さんの言葉を借りれば「耳で聴き、心で見るのが落語」です。
江戸の街を舞台にした古典のお話はもちろん、最近は「新作」と呼ばれる現代物のお話もたくさん作られています。これも落語なの!?と驚く作品にも出会えるかもしれません♪
まずは寄席で落語デビュー
そんな落語を気軽に楽しめる場所が、「寄席(よせ)」です。
東京都内には落語をほぼ毎日聞くことができる寄席が4箇所あります。新宿末廣亭、上野の鈴本演芸場、池袋演芸場、そして浅草演芸ホールです。
浅草演芸ホールは、浅草寺手前の伝法院通りを西へ歩いた先にあります。入り口に今日、出演する落語家・芸人の名前がずらりと並んでいます。
木戸銭という寄席のチケット代は、基本は当日券のみで予約も不要。
浴衣で浅草散歩をしているときに、「ちょっと時間もあるし、落語でも聴いてみようかな」と思ったときにふらりと立ち寄ることができます。昼の部が11時40分から16時30分まで、夜の部が16時40分~21時まででと、一日中やっています。ずっと見ていてももちろん良いですし、演目の間に、途中入場・途中退場することもできます。
寄席では落語を中心に、漫才、コント、マジック、紙切り、モノマネ…などいろいろな芸を持つ噺家さん・芸人さんが次々に登場します。持ち時間は一人10〜15分程度で、若手から順番に登場していきます。テレビの「笑点」やバラエティ番組にも出ている有名な噺家さんも間近で見られることも寄席の醍醐味ですね。
また、寄席では飲食もできます。ホールの中の売店でお弁当やサンドイッチを買って、お昼ご飯を食べながら寄席を見る、というのも楽しみ方の一つです。
浴衣を着て寄席を楽しむ。
粋な時間を過ごしてみてくださいね!
寄席デビューの予習にオススメのアニメ作品
とはいえ、何も落語を聴いたことがない状態で寄席に行くのはちょっとハードルが高いなぁと思われた方もいらっしゃるかもしれません。今回の記事の最後にオススメの落語を題材にしたアニメをご紹介しますね!
それがこちら。
『昭和元禄落語心中』
この作品はもともと漫画をアニメ化しているのですが、アニメの方が落語の語り口がよくわかるので私はオススメです。
しかもこの作品の主な舞台が浅草!浅草演芸ホールをモデルにした建物も出てきます。浅草寺、吾妻橋、花川戸…浅草のあの場所この場所も登場します。
落語初めての方も楽しめるアニメなので、いきなり寄席に行くのはちょっと不安だな、と思われたら是非見てみてくださいね♪